坂田織物久留米絣ができるまで

坂田織物
久留米絣ができるまで

久留米絣の伝統技法

「絣」は日本を代表する伝統的な木綿織物です。
織られる際に柄がかすれて見える事から「かすり」と名付けられたと言われています。
久留米絣の特徴は、くくり染めをした経(たて)糸と緯(よこ)糸をあわせた複雑な柄の素晴らしさです。
久留米絣の複雑で高度な伝統技法は、昭和三十二年に無形文化財に指定されたほどです。

絣が出来上がるまでの作業はおよそ30工程にもおよび、完成まで約2カ月要します。
皆様に、より絣を知っていただくために、
反物がどういうふうに作りあげられていくのかを簡単にご説明します。

【1】柄づくり(図案)
まず絣の柄のデザインを行います。
久留米絣作りはここから始まります。

柄のデザイン[絣の柄のデザインをする]

【2】絵紙
デザイン画を方眼紙のような図案専用用紙に書き、経緯(たてよこ)糸の配分・配置を決めます。
経糸だけでも柄・糸の種類によっては1100 本近くの糸を使用します。

【3】経尺づくり
手織りの場合絵紙に合わせ経尺をつくります。
これは後に工程に出てくる工程のくくり作業で必要となります。

【4】下絵
仕上がり時に、縮みなどが生じるためその縮み分を計算し、絵紙を書き直します。

【5】絵糸書
緯糸の柄部分をくくる際、目印となる種糸を作ります。

【6】経はえ(たてはえ)
絣の経糸配分が決まると織るのに必要な糸を用意します。
通常750本~1120本の経糸を使用します。

【7】緯(ぬき)はえ・整緯
経糸と同様に織るのに必要な緯糸を用意します。

【8】糸たき(精練)
糸の不純物を取り除くため2~4 時間ほど沸騰したお湯につけます。

【9】さらし(漂白)
美しい染め上がりのため、糸を漂白します。

【10】のりづけ
作業を進める時に、糸の乱れを防ぐため糸にのりをつけます。

【11】括り(くくり)
柄になる部分を※粗苧(あらそ)や綿糸で縛ります。
また、機械によるくくりもあります。
くくった部分は染色時に色がつかずほどいたところが柄になってゆきます。
※粗苧(あらそ)=麻の一種をひも状にする。

括り[柄になる部分を綿糸で縛る]

【12】藍建
藍染で染めるための準備を藍建(あいだて)といいます。

【13】藍染・化学染色
糸の染色を行います。藍染めは染まりをよくするため
糸をたたき空気を入れ酸化させ染めるという作業を
15~20回ほど行います。

藍染め[藍染め]

【14】水洗い
染めた際、糸についた不純物やアクなどを洗い流します。

【15】絣解き(かすりほどき)
括った部分をほどきます。

【16】水洗い
再び洗い染めた色を際立たせます。

【17】のりづけ・乾燥
織りの工程へ入る前糸が乱れないよう再びのりづけし天日干をします。

【18】経割(柄あわせ)
経糸を柄になるよう束ねていきます。

【19】割り込み・筬通し
絵紙で決めた糸数にならい無地糸とかすりを並べていきます。

【20】経巻き(たてまき)
織り機に経糸をセットする為巻き箱に巻き取ります。

【21】アゼかけ(綜こう通し)
巻き箱に巻き取ったものを上下に分かれた綜こうに通します。

【22】機仕掛
経糸を一本一本繋いで織機にセットします。

【23】緯割
図案の配分を考え、緯糸を糸篠にあわせて割ります。

【24】枠上げ
緯糸を緯取枠に巻きます。

【25】管巻・トング巻き
緯は、手織りの場合は緯取枠から杼に入れる竹管に巻き
動力織りの場合はトングという板に巻きます。

トング巻き[トング巻き]

【26】織り
手織りと動力機による織りがあり、
どちらも経験と技術を必要とします。

織り[織り]

【27】湯のし・乾燥
織りあがった布を防縮・色とめをかね湯通し、乾燥させます。
そうすることで工程途中につけた糊が取れ、風合いがよくなります。

【28】整反(せいたん)
傷などの有無を検査・確認しながら長さをはかります。

【29】検査
久留米がすり協同組合にて検査・合格したものが、
ようやく皆様のもとへ届きます。

いかがでしたでしょうか。
200年続く伝統の久留米絣はこうした工程を経て作られています。
じっくりと丁寧に、経験と技術が詰まった織物です。

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